「先生、高音がかすれるんです」
黙ってアタクシの声帯を観察してから、名医いわく。
「声帯が、もう太くなっちゃってるんだよね」
……声帯が、ふ、ふとい?
「バイオリンの弦を想像してごらんなさい」
(わからないので三味線の糸を想像する)
「細い弦から太い弦まであるでしょう。高音は、細い弦で出すでしょ。太い弦では高音はでないでしょ」
……どぅえっ!? そりゃ先生困ります。私は高音が売り物の関東節で。
「鍛えられちゃったんだから。細くはできないんだから。太い声帯では、高音部が出にくくなるのは道理」
先生、でも私は関東節……。
「キーを変えればいいでしょ?」
(「調子下げるなんて、なに言ってんだい、アンタ、突っ張るんだよ!」という豊子師匠の声が頭の中で聞こえる気がする……)
「ま、ちょっとこすれて炎症気味ですから、お薬出しておきますよ」
――ポリープとかじゃなくてよかったあ〜。
でもなあ。
道理はそうなのだろうが、楽屋で大先輩たちが、鍛えれば鍛えるほど調子は上がる(高音が出る)とさんざん言っておられるのを私は聞いてきた。実際私も出なかった声が出るようになってきている。
道理を根性でひっくり返す、か。
そんなこんなで迎えた週末の仕事。
三鷹の師匠の追善。師匠に教わった演題を、一生懸命!
ここ最近では、比較的力強い声が出たかな。
でも、まだまだ出るはず、まだまだ出したい。
そして日曜日の葛飾。いや〜ん、声、とっても出ちゃいましたー。
お客さんの笑顔。幸せな舞台、つとめさせていただきました。
「今日はお客さん、喜んだや、ね」
とは、お三味線弾いてくだすった島津一朗師匠。
このノドの調子で名披露目ファイナルになだれこめれば、なあ!
ダブルヘッダーのその日の夜の部。
本郷の金魚坂は、金魚問屋兼レストラン。
金魚や兼レストラン? 行ってみれば、わかります。
ここのランチと台湾烏龍茶は大変おいしいですよ、皆さん。
深堀隆介という金魚絵師を見つけたのは、思いかえせばここだった。ここの女将がつけていた金魚の帯に、私は目をうばわれ、
「こ、こ、この金魚を描いた人は誰ですかっ!」
呆気にとられている女将から、深堀さんの名前を聞き出したのが、テーブル掛けを描いてくれた彼とのご縁だったのでした。
当夜の客席、着物女子比率の高し! 反応うすくて、大丈夫かな〜と思いつつ「悲願千人斬の女」を演じましたが、どうやら女子たちはナマ浪曲にびっくりして、反応できなかったらしい。
送り出しで、みね子師匠と私の手を、「面白かった!」と、熱くにぎって帰ってくれた女子たち。
終わって外へ出ると、深堀さんの描いてくれた私のテーブルかけの金魚のように、尾ひれのながいうつくしい出目金が、いくつも、池の水の底でひっそりと眠っていました。
さて、30日は人形町。
「浪花町で浪花節を聞く会」
11月30日(金)19時開演
於:人形町翁庵(おそばやさんです)
出演:玉川奈々福 玉川太福(三味線・玉川みね子)
この会は、12/13名披露目ファイナルの試演会を兼ねます。
木戸銭:1000円(終演後おそばを食べましょう。おそばの料金別)
予約は三輪さんまで(mitsuwasekken@hotmail.com)
25日は本当にお忙しいところ、ご出演ありがとうございました!
お客様のお声を伺うと、後から後から
「浪曲はじめてきいたけれど、よかった」
「落語よりおもしろい」
「ななふくさんのファンになりそう」(←こうおっしゃった方には、どうぞなってください!といいました)
「続きがききたい」
などなどと、本当にうれしいお言葉が。
私は、「どうだ!ななふくすごいだろ!」という自慢な気持ちでございます。13日、またお邪魔します。楽しみにしています。
大切なのど、お大事になさってくださいね。
ご尽力に感謝します。面白い客席でした。よろこでんもらったのなら冥利!
老極居士さま。
ノド、手術なさったことがあったんですか! 声帯の表面にちょっとコスレがあると言われましたが、医者に行って安心したのか、調子が多少戻った気がします。はい、気をつけてノドを大事にします。黒豆の汁は、正月にいっぱい作って保管したのをもう飲み干してしまいました。また炊きます。酒も控えます……うう。
こちらは、降雪状態。足元悪いです。
小学生500人・・・収拾がつかない状態だったとお察し致します。以前は、よく、幼稚園児の前で、手品をしながらお話しをしたのですが、やはり、騒ぎ出したらおさまるまでに時間が掛かりました(笑)。お疲れさまでした。しかし、未来の浪曲ファンになる可能性がありますよね。