
本当に、こんな企画が実現するなんて。
ユーロライブのサイトに以下のように主旨説明があります。
今年もやります、浪曲映画! 映画17作品、浪曲8口演、活弁付き上映2回
浪曲映画祭─情念の美学2020
1930年〜1960年に、ラジオで大ヒットした浪曲を原作とした映画、ときに浪曲師も出演し、物語が浪曲で綴られていく映画が数多く作られた。この企画は、映画がいかに多くの浪曲や講談の演目に支えられ、日本人の世界観を表現してきたかを辿る旅でもあります。
■出演者
浪曲師:五代目天中軒雲月、浜乃一舟、大利根勝子、玉川奈々福、玉川太福、真山隼人、京山幸太
曲師:沢村豊子、玉川みね子、沢村さくら、一風亭初月
活弁士:坂本頼光+伴奏:沢村美舟(三味線)
トークゲスト:入江悠(映画監督)、山根貞男(映画評論家)
※出演者プロフィール、演目・映画解説はチラシPDFをご参照ください
主催:ユーロスペース 企画:ユーロスペース+シネマ5
企画監修:玉川奈々福
映画提供:国立映画アーカイブ KADOKAWA 日活 松竹 東宝 神戸映画資料館 国際放映 伊勢哲
協力:国立映画アーカイブ
という企画で、チラシ画像貼っておきますけれど、ユーロスペースのサイトで見てもらった方が見やすいです。


もともとは映画プロデューサーであり、ユーロスペースのオーナーである堀越謙三さんがシブラクきっかけで浪曲にハマッてくださり、それが、大分のシネマ5館主である田井肇さんに伝染し、「奈々福さん、やろう!」といわれて、巻き込まれているうちにできちゃったのがこの企画です。昨年、ユーロスペースとユーロライブを舞台に五日間、浪曲映画の名作15本の上映と、実演の浪曲8本の上演と、あいまに対談・座談を入れて開催しました。
連日満員で、私は、映像の中で動く虎造先生、伊丹秀子先生、寿々木米若先生に出会えて大感激し、映画が終わるごとにお客さんが惜しみない拍手をするのに大感激し、いつもとは違うお客様のまえで浪曲ができることに感激し……こんなことがあることを夢のように思いながら、五日間を過ごしました。
今年も五日間。日ごとにテーマがあります。
【26日の初日!】忠臣蔵の日。溝口健二監督の名作「元禄忠臣蔵」前・後編を皮切りに、この日の浪曲実演は、弟弟子太福による「不破数右衛門の芝居見物」と奈々福の「俵星玄蕃」、いずれも義士伝です。
浪曲のあとに上演される映画「暁の陣太鼓」が私は気になっております。近衛十四郎!
【27日!】二日目は、「伊丹秀子フェス」……こんなフェスってありうる!? 七色の声といわれ、残された音源で聞いても超絶的な声とテクニックに圧倒される、稀代の女流浪曲・伊丹秀子の浪曲を映画の中でたっぷり聞いていただき、伊丹秀子先生の前名「天中軒雲月」という名跡をいま継いでおられる五代目雲月師匠と、伊丹先生のお弟子である、浜乃一舟師匠が浪曲でご出演。一舟師は、名曲師・伊丹秀敏として雲月師匠を一席弾かれます。奈々福が司会になってお二人にお話をうかがうコーナー(これは聞きものですよ〜!)もあります。
【28日!】三日目は関西の若手特集。大阪から、真山隼人(曲師:沢村さくら)、京山幸太(曲師:一風亭初月)という二十代の男子二人が上京し、勢いのあるところを聞いていただきます。映画は、浪曲映画の傑作、オムニバスで義士伝の名場面を大看板の浪曲師たちの出演でつなぐ「赤穂義士」。浪曲師たちが出てきてそれぞれ挨拶するところから始まる、それがツカミとしてOKだった時代があったという、信じられないような作品ですが内容も素晴らしい。阪妻の「国定忠治」も見ものです。
【29日!】四日目は浪曲とカツベンの日。冒頭の映画「召集令」は。大正時代の四天王の一人に数えられた東家楽燕先生の口演による映画。これ、絶対見る。レア! その次の無声映画「忠治旅日記」がこの日の目玉です。この映画は絶対見ておいたほうがいい。なおかつ、弁士が坂本頼光さんという、スゴイ才能の弁士です。それに、浪曲三味線の沢村豊子師匠の弟子の美舟さんが伴奏をつけるという、他で絶対見られないパフォーマンスです。
この日は、夜、奈々福が「鹿島の棒祭り」を一席演じますが、そのあとの千恵蔵御大主演「春秋一刀流」も、見逃せません。
【30日!】最終日は、浪曲の定席木馬亭を50年守った席亭・根岸京子追悼企画の日。とはいえ、冒頭の映画が、昨年私が号泣してしまった、マキノ正博監督作品「世紀は笑ふ」です。広沢虎造主演。去年見逃した方、これは絶対見てください。なんというセンス。なんという幸せな映画。そのあとの「岸壁の母」も見たいんだよなあ。伊勢哲監督作品「浪曲師になってしまった!」。伊勢監督は13年前、まさに玉川太福さんが入門した頃から木馬亭の記録映像を撮り続けてくださっている方。太福さんの入門から修業中の姿を追うドキュメンタリーで、中にお席亭、昨年末に亡くなられた木馬亭のおかみさんも写っておられます。その映画のあとで、成長した太福さんと、その太福さんを、師匠亡きあと、育てた、盲目の浪曲師大利根勝子師匠の実演で締めるという……私はたぶん泣かずにはおられぬ流れでしょう。
渋谷の、ユーロライブに、雲月師匠が、秀敏師匠が、勝子師匠が、映画のお客さんたちの前に実演で声を張ってくださる、それを見られる、なんというレアな機会でしょう。
チケットはこちらから購入できます。コンプリートはかなり大変だが、一生懸命通ってください。